情報支援レスキュー隊 / IT DART (Disaster Assistance and Response Team)

開発で災害復興、防災・減災を支援したいんだけど、何からして良いかわからないというエンジニアが見るべきサイトやコミュニティ

投稿者:OikawaTakuya - 2015/12/03

IT DARTアドベントカレンダー3日目。

エンジニア性善説というものがある。エンジニアは作ったものが人に喜ばれることにやりがいを感じる。つまり、良いエンジニアは、黙っていても人のため・社会のためを考えているというものだ。

この性善説を信じるならば、エンジニアは社会貢献も機会があれば行いたいと考えられる。

今日はそんな背中を押されるのを待っているエンジニアのきっかけになるような情報をお伝えしよう。

まず、ITでの支援の前に、災害のことを学ばなければならない。日本は災害大国なので、Googleなどで検索してもらったり、住んでいる自治体のハザードマップなどの解説を見れば、いくらでも災害についての情報は出ている。ここでは、技術者に向けてというサイトとして防災科学研究所を紹介しよう。

防災科学技術研究所は文部科学省所轄の研究所であり、「防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発等の業務を総合的に行うことにより、防災科学技術の水準の向上を図る」(Wikipediaより)を目的としている。

NIED|自然災害を学ぶ は防災科学研究所が提供する自然災害を学ぶことが出来るWebだ。

また、今年の常総市を始めとする北関東・東北の水害はまだ記憶に新しいところだが、日本はどの地域も水害の危険がある。荒川が決壊したシミュレーションを国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所が公開しているが、CGを駆使したかなりショッキングな映像を公開している。こちらも是非見て欲しい。

フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」 | 荒川下流河川事務所 | 国土交通省 関東地方整備局

さて、災害について学んだ後は、実際に開発するに際して使えるデータやAPI、ツールを見てみよう。

まずは、先ほどの防災科学研究所の公開しているデータ。

エンジニアが何かを開発するときには、データやAPIが必要だが、この防災科学研究所もデータやソフトウェアツールを公開している。

NIED|研究紹介|データ公開一覧

また、Yahoo! JAPANディベロッパーネットワークからも震災関連APIが提供されている。今年の10月で提供が終了してしまっているものもあるが、そのような歴史も含めて理解することが出来るだろう。

震災関連情報 – Yahoo!デベロッパーネットワーク

オープンデータやAPIというのはここ数年総務省を中心に国も力を入れている。それらを含め、現在利用できるAPIやデータを網羅的に集めたWebページもある。

気象情報や地震情報などのデータもそうであるが、それらに基本的な自治体情報などと組み合わせることでさまざまなサービスが開発できる。上に紹介した2つのWebページで紹介されているオープンデータなども是非見て欲しい。

災害へのIT支援のやり方にオープンソースでの貢献もある。

例えば、Googleのパーソンファインダーと言えば、311の直後に立ち上がり、多くの人の安否情報を提供したことで有名だが、このパーソンファインダーはオープンソースとして公開されている。

GettingStarted · google/personfinder Wiki

同じく、311の直後に立ち上がったshinsai.infoのベースとなったUshahidiもオープンソースだ。

Ushahidi

これらオープンソースの貢献を考えてみるのも良いだろう。

自然災害の場合、地理情報の活用が重要なケースも多い。先のshinai.infoもその例だ。OpenStreetMapを使ったクライシスマッピングも注目を集めている。このクライシスマッピングに関してはInternational Conference of Crisis Mappers (ICCM) というイベントが定期開催されており、世界中の開発者や研究者が集まり議論している。CrisisMappers – THE HUMANITARIAN TECHNOLOGY NETWORKに多くの情報が集まっている。

最後に、アカデミアの世界においてもさまざな研究がされている。宣伝になるが、年末の12/26(土)に情報処理学会セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会、インターネットと運用技術(IOT)研究会、情報システムと社会環境(IS)研究会、グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会が主催の「第5回災害コミュニケーションシンポジウム-情報処理学会」が予定されている。

ISCRAM | International Association for Information Systems for Crisis Response and Managementの論文を紹介するLTなども企画されているので、興味ある人は是非参加してみて欲しい。

以上、エンジニアに興味を持ってもらうためのサイトをいくつか紹介した。参考になれば幸いだ。

おっと、言い忘れた、情報支援レスキュー隊(IT DART)も君を待っている。我々と一緒に世界を救おう。

募集 | 情報支援レスキュー隊 / IT DART (Disaster Assistance Response Team)

Happy Hacking