情報支援レスキュー隊 / IT DART (Disaster Assistance and Response Team)

2015年3月15日 国連防災世界会議パブリックフォーラム アクションワークショップ

2015年3月、震災から4年を経た仙台で、第3回国連防災世界会議が開催された。この会議は、国際的な防災戦略について議論する国連主催の会議であり、第1回(1994年、於:横浜)、第2回(2005年、於:神戸)の会議とも、日本で開催されている。

この会議のサイド・イベントとして、「パブリック・フォーラム」が、並行して開催され、「情報支援レスキュー隊(IT DART)」も3月15日にワークショップ行った。パブリック・フォーラムとは、国内外の防災や減災、復興に関する取り組みをしている政府機関、地方自治体、NPO、NGO、大学、地域団体などが、展示やワークショップを開催し、自分達の活動を紹介する取り組みである。私たちは「ITに関わる私たちが、できること、すべきことを考える」というテーマでワークショップを行った。

IT DARTの発足は2013年10月6日に開催した「IT×災害」会議(於:東京大学駒場キャンパス)での議論が切っ掛けとなっている。この会議の中で、「IT版のDMAT(ディーマット)を作ってはどうか」という意見が出た。DMATとは、Disaster Medical Assistance Teamの頭文字をとったもので、「災害派遣医療チームと呼ばれている。「医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チーム」のこと。

もちろん、医療従事者ではないIT関係者達が医療行為を行おうというのではなく、ITのスキルを持った人たちが、被災現場での情報収集・活用・発信を支援し、被災地で活動する様々な人たちを「情報」で支援することで、彼らの活動の円滑化や効率化を支えようという取り組みだ。

2014年2月から始まった1年越しの議論は、紆余曲折を重ねている。そもそも災害急性時に被災地に入れるのか、ボランティアという立場で何処までできるのか、公的な仕組みでもないこのチームが意味のある被災地の情報を手に入れることができるのか。そんな、議論を延々20回以上も繰り返しながら、いまだ自立した組織にはなり得ていない。それでも、マニュアル作りをはじめたり、長野県の地震ではネットの情報を頼りに災害マップを作成したり、大規模な災害を想定した実証実験を宮城県石巻市で地元の協力を得て実施したりと、カタチを作ろうと動き始めている。

今回のワークショップは、こんな取り組みを紹介させていただくと共に、上記テーマについて議論し、新たな知恵やつながりを得ようというものだった。また、同時、具体的な組織、体制作りに協力してくれる隊員を募集しようというものである。

冒頭、この取り組みを紹介するとともに、先の石巻での実証検証の報告、また、この取り組み以前からITボラティアを実践してきた「災害IT支援ネットワーク」の取り組みなどが紹介された後、グルーブディスカッションが行われた。

申し込みは、40名ほどだったが、蓋を開ければ55名の参加、スタッフ20人を差し引いても30名を越える新しい人たちにご参加頂けた。多くのワークショップが、同じ時間帯に開催される中、実に多くの方にご参加いだけたことを嬉しく思っている。

IT DARTのメンバーの中には被災直後から被災後の復興に向けた取り組みに関わってきたものも多い。しかし、災害急性時に行う情報やITに関わる支援となると、全く異なる取り組みであり、同じやり方は通用しない。例えば、急ごしらえの避難所の実態や傷病者の名前、必要となる物資、個人の安否など、求められる情報はまるで違う。そういう現場の情報をどうやって収集し、活用、発信してゆくかは、簡単に結論が出るものではない。そんな中でITに関わる私たちに「できること」、「すべきこと」を考えるべく、以下の5つのテーマでグループ・ディスカッションを行った。

  • 被災地における情報支援のあり方とは?
  • 被災地を支援する人たちに対する情報支援のあり方とは?
  • 被災地入りしないで出来る情報支援のあり方とは?
  • 技術者ができる情報支援とは何か?
  • 急性期の情報支援のあり方とは?

熱心な論議が交わされた。これまでとは異なる視点や知らなかった情報なども得られ、実に有意義なものとなった。また、ある自治体の職員の方からは「IT支援に関わる協定を結びましょう」とのオファーもあり、改めてこの取り組みの存在意義を感じることができた。

「情報は人についてくる」と、言われている。日頃の信頼関係や人のつながりがなければ、必要な情報を手に入れることはできない。また、相手を思い遣り、いたわる言葉をかけられなければ、誰も話そうとはしてくれない。情報支援とは、そんな人とのつながりが土台となる。技術は、この前提のもとに有効に機能する。情報支援レスキュー隊(IT DART)は、そう言う取り組みなのだと、この一年を振り返り実感している。

今回のイベントは、これから人を集め、本格的に活動を開始する足掛かりになればと願っている。ぜひ、多くの方のご参加をお願いできれば幸いである。