災害ボランティアセンターとICT活用をちょこっと
情報支援レスキュー隊、運営委員・理事の上村です。災害時には、災害ボランティアセンターや支援組織へのIT支援活動を、行っています。今日は、災害ボランティアセンター(以下、災害VC)のICT活用の実際をちょこっと(週末なので軽くご紹介)。
※左記は、熊本地震被災者支援で開設され、現在は閉所した「西原村災害ボランティアセンター」の様子
災害ボランティアセンターとは?
そもそも災害VCって何という話ですが、被災された方の支援をボランティアの方々と協働して行うための場です。その支援内容が、水害・津波・土砂災害だったら、家屋の泥だし・清掃、お話・お困りごとをお聞きする足湯やニーズ調査だったり、仮住まいへの引っ越し支援だったりします。災害には一つとして同じ顔はないので、支援内容も多様なものになっています。
運営主体は、近年は、社会福祉協議会(社協)によるものが多くなっています。社協は民間の団体ですが、地域や行政とのつながりも深く、地域防災計画に設置主体として明記されることも多くなっています。その他、被災地の自治組織や災害NPOなどが開設するセンターもあります。
災害ボランティアセンターでのICT支援
では、そこでのICT支援ってどのようなものがあるのかをご紹介します。前提として、私の考える「情報支援」なのですが、「支援先の意思決定を補助する情報支援」で、その技術的側面とは、車の両輪の関係と思っています。
例えば、災害に起因するお困りごと(ニーズといいます)が、「地域的に聞き取れていないのではないか」という課題に対して、「今後、どの地域を重点的に聞き取ればよいか」という意思決定を補佐することを考えます。
その際、ニーズ状況をGIS(Geographic Information System:地理情報システム)や、大判地図上にマッピングし、見える化をはかります。そこに時系列情報や災害時要支援者の方の情報なども入れる、また、生の声などを補足するなどで、重点地域を決めていきます。
また、C:communication「通信・伝達」という側面では、ボランティアセンター受け入れ時の無線通信や後方支援先との情報交換、またネットワークという側面では、モバイルルーターによるネットワーク環境の整備などがあります。こちらもICTニーズとして高いところですので、また別エントリーでご説明できましたら。
手段と目的が逆転しないために
このように「情報支援」といった場合にどのような「情報」を支援しようとしているのかの意識は重要です。被害状況や現地情報ひとつとっても、支援団体内の内部向け情報なのか、広く一般に公開した方が良い情報なのかを見極めないと、例えば、SNSで個々のお宅の被害状況を拡散・マッピングしてしまい、現地でトラブルになるということも往々としてあります。
ただし、この現場レベルで必要な情報・技術と実際にそれを組む人との間に、ギャップがあることも多いので、その間を調整する「情報支援コーディネーター」の必要性はますます高まっています。
現場からの粗々、ざっくりの要求に対して「情報支援コーディネーター」により、ある程度の要件定義を決め、もう一つの現場であるエンジニアの方々に伝える。そして、支援現場での使い勝手をフィードバックしてさらに改良する。
では、どんな開発手法やシステムが良いのかは、恐らく、IT DARTメンバーである畑山先生が解説いただけると思います。