情報支援レスキュー隊 / IT DART (Disaster Assistance and Response Team)

2年度定時総会および報告会&ワークショップ

6月26日(日)に2年度総会記念報告会&ワークショップを開催させていただきました。
当日は多くの関係者の皆さまにご参加いただき誠にありがとうございました。

当日ネット中継しました報告会の動画と発表資料を公開しましたので、ご活用下さい。

IT DARTの活動は、会員、隊員をはじめ個人・企業・団体の皆さまの支援・ご厚意によって支えられております。

被災地の皆さまにとっては、大変困難な状況が続いているかと存じますが、IT DARTとしても多方面からのご協力を得ながら情報支援活動によって被災地の復旧・復興に貢献してきたいと存じます。

引き続きご支援ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

2年度総会記念報告会&ワークショップの概要

日時 2016年6月26日(日)
場所 慶応大学三田キャンパス
参加者45名(会員22名および一般23名)

参加者記念写真

15時~16時30分

  • 関東東北豪雨・熊本地震の報告
  • 関東東北豪雨対応(全般活動報告)
  • 熊本地震対応(全般活動報告)
    • 情報流通の支援
    • 情報システムの開発
    • 通信環境整備の支援
    • 情報作成の支援
  • 熊本地震の振り返り
    • 先遣隊の報告と印象
    • 活動振り返りと今後の意見(支援団体向け)
    • 機材調達と提供
    • 支援物資管理・マッピング
    • ネットワーク上の情報発信・共有
    • 情報システム開発と提供
    • マネジメント

16時30分~17時30分

  • ワークショップ
    • テーマ別のグループに分かれて討論
      • 被災者への支援
        グループ1) 被災者向けの情報支援は、支援を望まれる方の状況に応じて全く異なるため、適切に支援を行うためには大まかな分類が必要。一つは情報支援を望まれる方が「団体」なのか「個人」なのか。もう一つは、情報を「整理して欲しい」のか「配信・伝達して欲しい」のかの分類。最低限、この2つの観点から4つに分類できれば、支援を必要としている人と、支援したい人とのマッチングがしやすくなり、情報支援の初動~タスク管理が見やすくなると考えられる。
        被災者支援グループ1
        グループ2) IT DARTのできる支援メニューとして「情報の提供」が挙げられるが、デジタルとしての情報は現場まで届くことは可能であり、「デジタルの世界では」被災地の隅々までいきわたることは可能になろうとしている。しかし、デジタルとして、現場まで行った後、それをアナログに行くところが絶対的に足りないのではと考えた。たとえば、ネットから来た情報を印刷して配りたいと思っても、現地にいる人がネットワークの設定やプリンターのセットアップができないであるとか、ソーシャルの呼びかけでたくさんの支援物資が届いたとしても、それを効率的に必要な時に必要な場所に届けることができないとか、などがあげられる。災害時に本当に役にたつには「デジタルとリアル繋ぎこみ」が必要である。IT DARTが活躍できるのは、そのようなデジタル情報と、現地の人の繋ぎこみなのではないか。例えば、災害が起きた時、とにかく現地に行ってデジタル→アナログ周りの必要なニーズに合わせて動くことであるとか、日頃からスキルセットを公表しておいて現地で足りないもの(物資・スキル)を届ける、などができるのではないかと思っている。
        被災者支援グループ2
      • 支援団体への支援
        支援団体向けの情報支援としては、「ソーシャル」、「情報システム」、「マネジメント」の3つの機能が必要。ソーシャルに関しては、支援団体間で得意な団体が相互補完できるようなシステムが望まれるが、face to faceの飲み会を開催することも有効。情報システムに関しては、これまでの知見から想定した基本ユニットを用意して提供することが有効。マネジメントに関しては、自律分散を基本としつつ統制がはたらくソーシャルPMが望まれる。これらをパッケージにした支援システムをVSS(Volunteer Support System)と命名した。(もっと素敵なネーミングを募集中!)支援団体支援
      • 社協への支援
        社会福祉協議会は、災害ボランティアセンターの運営や被災者の戸別訪問によるヒアリングなどを通じて、支援ニーズについての情報を収集している。これらのニーズを効果的・効率的・継続的に支援につなげていく際に、ITを活用した情報の整理とマッチングの支援は役に立つと考えられる。一方で、社協ごとにニーズ収集の項目が異なることや、スタッフの入れ替わりが多いためシステムに習熟する前にメンバーが交代してしまうことなどがIT導入による効率化を阻むと考えられる。IT導入による便益を最大化するためには、災害ボランティアセンターの運営体制の変更を必要とすることから、社協や災害ボランティアセンターを支援する団体である「支援P」らと密なコミュニケーションを取りながら今後の方向性を検討を続けていく必要がある。この中で、IT DARTの担うべき役割は、システムの開発・導入自体ではなく、社協や支援Pとの検討部分ではないかと考えた。
        社協支援
      • 行政への支援
        被災時には、行政機関の業務量は激増するとともに、普段は行わないような情報収集・発信も必要になる。このような業務を効率的に進めるためにはIT技術を活用するのが効果的と思われる。
        ただし、行政機関ごとに業務フローやツールは既存の物があるはずなので、新たなツールの導入は良い手段ではない。また支援対象となる行政機関は単一ではなく、支援期間も長期に及ぶため、その支援をIT
        DARTが直接担うのは現実的ではない。その代わりに、行政機関でのニーズに合うIT技術者(といっても、ExcelやWordに詳しい人かも知れない)を送り込むような、ITボランティアのマッチングや紹介を行うのが現実的だろうという結論になった。
        隊員だけではなく、他の支援組織も含む人のつながりを活用する『人間ハブ』としてこのような機能を果たすためには、平時から訓練などを通じて各方面とコミュニケーションを確保しておく必要がある。
        行政支援