気象予報を学ぼう
こんにちは。IT DARTの藤井新吾です。
九州北部豪雨災害は記憶に新しいところですが、熊本地震でも、地震の発生により弱った地盤で、降雨などの気象の影響が変わる事態は起こっています。気象の影響は、地域ごとに様々ですので、気象庁でも「地方公共団体の防災対策支援のための気象予報士活用モデル事業 結果報告」 http://www.jma.go.jp/jma/press/1704/27a/yp_kekka_houkoku.pdf として、各地に気象予報士を配置し、大雨の際の防災対応時の業務の分析に取り組み、下記の様な結果を得ています。
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大雨の際の防災対応時の業務では、派遣気象予報士が市長をはじめ、防災担当者が必要とする気象情報の解説を適宜適切に行うことで、市の対応判断がスムーズに進み、早めの避難情報発令につながった。派遣市からは、「気象台が発表する気象情報のより詳細な解説や見通し、それに伴う防災対応に関する意見など、本市が防災対応を行う上で適宜適切な助言をいただいた」、「気象予報士により、進路状況や被害想定をしていただいたことにより、判断がスムーズにいった。
結果、早めの避難準備情報の発令に繋がった」、「気象予報士の解説は、専門家の知見と経験に基づくものであり、ほぼ全幅の信頼をおいて対応にあたった。気象予報士による気象情報の解説は、避難勧告等を決断する際の重要な情報である」等の所感をいただき、評価を得ている。
気象台では、気象や地震火山等の災害発生時や、災害の起こるおそれがある現象が予想される等の場合に対応するための地方公共団体との相互連絡体制を確保しているが、気象台への電話連絡を躊躇する市町村もある。今回、派遣気象予報士が派遣市の気象の見通し等について気象台へ照会し、詳細な防災気象情報の解説を実施したところ、派遣市からは、「避難準備情報の解除について、早めに判断することができた。気象予報士が、今後の気象の見通しについて、気象台に確認した上で、的確に説明してもらえたのが大きかった」との所感をいただいた。
大雨等により気象災害が発生する恐れがある場合、防災担当者は市民からの問い合わせや指定緊急避難場所の開設等に追われ、防災対応に欠かすことのできない地元気象台の発表する各種防災情報を適時適切に確認することが困難になる場合がある。また、防災気象情報を詳細に分析し、的確な防災対応に結びつけるための専門知識が必ずしも十分ではない等の課題がある。派遣市からは、「気象予報士から最新の気象状況を聞きながら対応を検討したところであり、迅速な情報分析力の必要性を痛感した」との所感をいた だいた。
市町村の防災の現場において気象予報士が気象情報の収集・分析に専念して、状況に応じた詳細な解説を行うことは、市町村の防災対応に大変有効であると考えられる。
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この様な取組みの背景には、気象予報士制度が、「防災情報と密接な関係を持つ気象情報が、不適切に流されることにより、社会に混乱を引き起こすことのないよう、気象庁から提供される数値予報資料等高度な予測データを、適切に利用できる技術者を確保する」ことを目的にしていることがあります。そのため、気象情報は、人命に関わる大事な情報であるため、テレビで番組が特別編成される時でも、カットされず放送されます。
オーダーメイドの気象データを扱う民間企業は多くあり、企業や自治体にデータ提供を行なっていますし、気象庁自体もより多くのデータを発信しています。この様な状況下で、受け手がデータを情報として活用しきれていない状況が起こっています。
気象データの活用分野は、物流、ファッション、農業、医療(天気痛など)など様々な分野で活用されていますが、特に、自治体の減災活動では、気象条件が、地域にどの様なリスクを発生させているのかをより高い精度で把握することが、それに必要な支援を求めたりする受援力を高め、減災に繋げる効果は大きいところです。