情報支援レスキュー隊 / IT DART (Disaster Assistance and Response Team)

被災地でのIT支援 あるある失敗談

投稿者:MiyagawaShoko - 2015/12/18

みなさん、こんにちは。IT DART代表理事の宮川です。好きな言語はPrologとLISPです。

IT DART Advent Calendarも18日目になりました。

今日は、私が見たり聞いたり、そして実際にやらかしてきたIT支援の失敗談やヒヤリハットをいくつかご紹介します。特に教訓めいたものはありません。あるあるー、あるいは、ありそーって思っていただければ幸いです。

パソコンいじってないで物資配布手伝え!

さあ、IT支援だ、といっていそいそとPCのセットアップなどをしていると、周りの人から「そんなことやってないでこっち(片付けや物資配布)手伝え!」 と言われることがあります。たとえば、避難所の管理者さんからITお願いね、と頼まれていても、それが避難所の住人さんやボランティアさんと共有されてい るとは限りませんからね。どうしましょうね。みなさんだったらどうしますか?私は、「わっかりましたー」と元気よく返事して、2,30分お手伝いした後、 「管理者さんからIT頼まれているのでそちらに戻りますが、何かあったら声かけてくださいねー」といって消えるという、穏便に済ませる作戦をとりました。 ITも大事なんですが、一番大事なのは、避難所全体がトラブル無く回っていくことです。一つのことに秀でていても、他の人とトラブルを起こす支援者は、結局疎まれてしまいますからね。

SNS講習会をやったけどアカウント作成ではまっておわり。

集会所に集まってもらって、さあ、みなさんもよりよい支援につなげるためにFacebookやTwitterで情報発信していきましょう!ってことで未経験者に講習を始めるわけですが、まずはアカウント作成から。でもほとんどのSNSはアカウント作成時にメールへのアクセスが必要になりますよね。ところがここは集会所。PCは借り物。携帯ではメールしないし、メールは自宅のパソコンでしかやらないしわかんないわー。ってことで、ここではまる。じゃあもうめ んどくさいからgmailで新規にメールアカウント作っちゃえ、なんてやってると、なんでここでメールアカウントを作らなきゃいけないのかわからなくなって、「facebook使うたびにgmailのアカウントを作らないと行けないんですかー」みたいな質問が出てきたら、かなりやばい。気がついたら時間の 半分がアカウント設定に費やされていて、しかも参加者みんな混乱しててそれ以上先に進める気が1bitもしない。使い方講習会をするときは、アカウントは自宅で作ってきてねー、という方が良いんじゃなかろうか。

パスワードは共有されたりされなかったりする。

ああ、パスワード。パスワードって大切だから守らなきゃいけないんでしょ?いや、そうなんですけどね。。。
複数箇所の拠点でWiFiのパスワードが微妙に違うとか、いや、一緒で良いじゃん。ESSIDも一緒で良いじゃん。
短期・中期のボランティアさんに組織がPCを貸与して、これ、つかってね、ということがあります。自分でパスワードを変えて、ボランティアさんがいなくなったあとパスワードがわからないというのは割とよくある話。いつの間にかBIOSのパスワードまで設定してて、しかも忘れちゃったーとか言われると、 IT屋としては燃えるんだけどつらい。ちょっとITに詳しいボランティアさんがDropboxとか設定してくれたのはいいんだけど、管理者がそのボラン ティアさんになってて、いなくなるともう共有設定も変えられない。
実際、私が支援活動に関わった時間のうちの1/3くらいは、パスワードがらみだったような気がします。ただ、この話は結構奥が深いんじゃないかと思っていて、様々なサー ビスでの役割認証が、そのサービスのユーザアカウントと紐付いているというところが問題というか課題なわけです。1週間とか1ヶ月でボランティアが入れ替 わるという状況に対応できるサービスになっていないのです。
アカウント管理と役割管理、良い方法があれば良いんですけど。

勝手にものを移動して住人さんに怒られる。

ITに限ったことではないのですが、屋外に機器を設置しようとしてプランターを動かしたら、持ち主の住人さんに激怒されたという事例がありました。被災して家族も家も仕事も失って、精神的に追い詰められた住人さんもたくさんいます。もちろん、できるだけトラブルを起こさないような配慮も必要だけど、住人さんのやり場のない感情が支援者に向けられることはあります。住人さんとのトラブルは、ある程度は起きてしまうことも想定して活動すると良いと思います。繰り返しになりますが、ITの有無よりも避難所がトラブル無く運営されて、安寧な場所となることが何よりも大事です。とはいえ、住人さんは王様ではないの で、土下座して謝るような必要もない。基本的には住人さんのことを尊重しつつ、どうしようもなさそうなら潔く撤退することも視野に入れて。強い心と強い奥歯はすべての支援者に必携です。

IT入れたことでトラブルが起きるかも。という気持ちも理解して。

私たちIT屋は、「こんな機器やサービス入れると便利になるよね」と思って、良かれと思っていろいろな支援を申し出るわけですが、支援先ではちょっと別のとらえ方をされることもあります。たとえば、あまりにも高価な機器(衛星通信セットとか)を持ち込もうとすると、「壊れたときに賠償しなくてはならなくなると困るのでいらない」と言われたりすることもあります。IT屋はいいところばかり見ますが、被災者に実際に支援を届けている団体は、活動を継続的に安定的に続けていくことが大切なわけで、たとえ便利になるとしても、トラブルがあったときに活動全体に影響が及ぶようなリスクは取りたくないと考えます。当然ですよね。月並みですが、支援先がどんなことをリスクと感じているかをちゃんと知って、それに合うように対応する必要があるんだと思います。コミュニケー ションも含めて。そこまで含んでのIT支援なのかなーと思います。

なんてことで、まとまりはないですが、このへんで。

あ、最後にLISPのbubble sort貼っておきますね。

(defun bubble-sort (sequence &optional (compare #'<))
“sort a sequence (array or list) with an optional comparison function (cl:< is the default)”
(loop with sorted = nil until sorted do
(setf sorted t)
(loop for a below (1- (length sequence)) do
(unless (funcall compare (elt sequence a)
(elt sequence (1+ a)))
(rotatef (elt sequence a)
(elt sequence (1+ a)))
(setf sorted nil)))))

 

明日は誰だろう(笑)