情報支援レスキュー隊 / IT DART (Disaster Assistance and Response Team)

「まずは君が落ち着け」 シンゴジラに見る災害時のリーダーシップ

投稿者:MurakamiAkiko - 2016/12/21

この記事は災害・防災Advent Calendar 2016の20日目の記事です。

IT DART理事の村上です。昨日の宮川さんの記事からに引き続き「シンゴジラと災害」をテーマにお送りします。今日は、シンゴジラを通してみた災害時のリーダーシップ、特にその継続性についてです。

タイトルにした「まずは君が落ち着け」というセリフ、ペットボトルの水を体に打ち付ける「水ドン」として映画の萌えポイントの一つです。詳しい解説は避けますが、このシーンは主人公で内閣官房副長官である矢口が、問題解決をできるのは自分しかいないという自覚を持った瞬間だと言えるでしょう。

そのあとの矢口が問題解決に対して発揮したリーダーシップに関しては映画をご覧いただくのが良いのですが、一つ、私が違和感を持ったところがありました。それは、日本人が大好きな「寝ないで頑張ってる俺かっこいいだろ」感です。

ええ、私も寝ないで頑張るアピールするのでわかります。しかし、1人の人がリーダーシップを発揮し、寝ないでチームを率いるとどうなるか。まず、人間は睡眠不足、休息不足に陥ると、判断が鈍ります。また、人は寝ないで過ごせる時間には限りがあるため、どうしてもその人がいない空白の時間帯ができます。そのため、その人がいない時は意思決定がどうしても遅れるということになります。その遅れが、被害を拡大させる可能性は十分にあります。

しかし、ではリーダーをローテーションにするということで解決するでしょうか。御察しの通り、リーダーを2人ないし複数人おくことにはリスクが生じます。一つは、引き継ぎの問題です。どうしても、いない間の出来事を伝達し、理解するには時間も労力もかかります。もう一つは、意思決定の統一の問題です。指揮の方向性を合わせておき、かつどうしてその意思決定をしたのかという背景も共有されていないと、リーダーの指揮のブレが生じ、現場が混乱します。

では、1人リーダーとローテーション、どちらがいいのでしょうか。これは議論の分かれるところではありますし、リーダーのアドレナリンの出方にもよるのですが、だいたい1週間をめどに考えると良いと思います。二次災害の少ない天災の場合は、だいたい初動から鎮圧まで1~2週間といったところですので、1人のほうが効率が良さそうです。解決までもっと時間がかかるような災害ではローテーションのほうが向いているのかもしれません。

シンゴジラの場合、初上陸から再上陸、活動停止までの期間は明記されていますが、それからヤシオリ作戦までは数ヶ月を要していると思われます。初上陸~活動停止はリーダーのローテーションなどを考える余裕はありませんでしたね。後半は本来ならばローテーションのほうが良いかもしれませんが、立川に場所を移してからはそこまでの緊急性はなかったようなので、これはローテーションする必要はなかったかもしれません。

まあ長谷川さんがかっこいいので映画的にもローテーションされると困るのですが・・・←そこが言いたかったらしい

あと、なんだかこのエントリーを書いていて思い出したフレーズがありました。

枝野寝ろ

東日本大震災、特に福島第一原発の事故で枝野さんが指揮をした初期1週間は、ローテーションなどと言っていられない危機的状況でした。とはいえ、1週間を超えたあたりで政府はローテーションに入っていたように見受けられます。真意のほどはわかりませんが。

この辺りを思いながらシンゴジラを見ると、また違った角度で見られるかもしれません。