情報支援レスキュー隊 / IT DART (Disaster Assistance and Response Team)

災害対応をプロジェクトにする

投稿者:SatoDai - 2017/12/10

この記事は『防災・減災 Advent Calendar 2017』の10日目の記事です。


またまたIT DART の佐藤大です。

8日目の記事「災害対応で業務効率を上げよう!」では、どうしたら判断力を鍛えられるのかという疑問を書きました。それと同時に、災害対応で要求されることはプロジェクトマネジメントの技術に似ていることも指摘しました。今回の記事では、災害対応とプロジェクトとの比較を、少し掘り下げて考えてみたいと思います。

そもそもプロジェクトって何?

このプロジェクトという単語自体は、ときどき耳にすることがあるでしょうし、おぼろげに「チームを組んで達成する大掛かりな作業」みたいなイメージをお持ちの方も多いと思います。きっと真っ先に思い浮かぶのは、NHKの『プロジェクトX』と中島みゆきの『地上の星』ですよね。

このプロジェクトという概念には、ちゃんと定義があります。少し噛み砕いて表現すると、以下の3つの要素を持つものがプロジェクトと呼ばれます。

  1. 独自であること
  2. 期限があること
  3. 達成目標があること

「独自であること」とは、今までやったことの繰り返しではないということです。例えば自動車を作ることを考えると、ある型の車を新たに開発するのはプロジェクトですが、その型の車を量産するのはプロジェクトではないということになります。

「期限があること」とは、ある時に作業を開始し、その作業の〆切があるということです。いつの間にかやっていたことや、期限を切らずにそのうちに終わればいいというものは、プロジェクトではありません。

「達成目標があること」とは、期限までに達成すべき内容が決められていることを指します。何か新しい製品を完成させるような『モノ』的な目標がイメージしやすいですが、その他にも「1日の生産量を20%増やす」など『コト』が目標になる場合もあります。

これらをまとめると「ある決まった〆切までに、新しい何かを作ったり達成したりすること」が、プロジェクトだということになります。

災害対応はプロジェクトなのか?

職場に居る時に大きな地震が起こったら、職員の安否を確認したり、建物や設備の被害状況を確認したり、壊れた設備を修理したり、限られた人と物で業務を実施する算段をしたり…と、様々な作業が発生します。できるだけ早いうちにできるだけ何とかしたいのですが、それだけだと何から手をつけて良いのかハッキリせず、なかなか対応が進みません。さてこの状況は、プロジェクトと呼べるのでしょうか?

災害により発生する被害は毎回違うので、それに対応するための一連の作業も独自の物であるはずです。また作業開始は地震発生直後と明確です。あとは〆切と達成目標を明確であれば、プロジェクトの定義に当てはまります。そうすれば、いわゆるプロジェクトマネジメントの技術が応用できそうです。

災害対応を効率的に進めるための第一歩は、この部分です。
発生するあれこれの作業に、〆切と達成目標を明示していきましょう。全体としてはとても複雑で大きな作業ですが、小さな単位に分解して考えれば、その一つ一つに潜在的な〆切や達成目標が存在していることに見えてくるかも知れません。もし見えてこなくても、全体から見ればごく小さな部分ですから、この際「えいっ!」と〆切や目標を決めてしまいましょう。

例えば、「職場にいる職員にケガが無いかを発災後○分以内に災害対策本部が把握する」、「安全な使用が危ぶまれる建物が無いかを発災後○分以内に災害対策本部が把握する」などで、これら一つ一つがプロジェクトになります。またこれらの状況把握が進むと「転倒して壊れた○○装置を○日以内に復旧させる」、「使用できなくなった部屋の機能を○日以内に別の部屋に移転させる」などの復旧作業のプロジェクトも立ち上がることでしょう。またこれらをサブプロジェクトとするような「○日以内に生産能力を80%まで復旧させる」、「○日以内に通常業務に戻す」などの大きなプロジェクトも見えてきます。

〆切と目標のメリット

災害対応は「できるだけ早くできるだけのことをしよう」という感じになりがちですが、これだと忙しい中でどれくらい注力すべきかが分からなくなるし、時間を要する段取りも計画できません。でも小さな単位に分解して考えれば、その一つ一つに潜在的な〆切や達成目標が存在していることに気づくはずです。これらを小さなプロジェクトとしてこなしていくことで、前に進むことができます。災害対応は全体として見るととても複雑で心が折れやすいのですが、一歩ずつでも進捗していることが把握できれば、モチベーションを維持しやすくなります。


…さて、この記事では「災害対応ってプロジェクトとして扱えるよね!」というところまでで終わってしまいました。そうすると何が嬉しいのかは、また次の機会に。